■出典 2024年9月27日放送
「陸上養殖で「あおさ」を育てる 海藻の資源回復につながるか
温暖化の影響などで海藻の収穫量が各地で減少し、問題になっています。
みそ汁の具などでニーズが高まっている「あおさ」もその一つ。大手みそメーカーは年間を通してあおさを安定的に生産しようと、陸上養殖の開発拠点を整備しました。海藻の陸上養殖のビジネスモデルをつくり、将来的な水産資源の回復につなげられるか、注目されています。
「種」から育てる “陸育ち”のあおさ
愛媛県西予市にある「あおさ」の陸上養殖の施設。大手みそメーカーが5年前から試験養殖を行っています。
あおさは、いわゆる「種」から育てていきます。
種が入った液体を海水に入れて…
栄養分などを加え光合成を促す
そして屋外に移し、数か月かけて育てて収穫します。
課題は「水温」 どう克服?
生産の大きな“壁”となったのが「水温」です。あおさは通常、水温が20度以上になると生育が極めて難しいとされています。
そこでメーカーの担当者は数年かけて全国各地をまわり、高い水温でも育つあおさを探しました。ひとつひとつを培養してテストを繰り返し、ついに安定した収穫が見込める株を見つけたのです。
高い水温で育つあおさ。取材した日の水温は30度になっていた
事業拡大目指す
陸上養殖で収穫されたあおさは2024年9月から、メーカーの長野県の工場で、みそ汁の具の一部として製品化され、販売が始まりました。
メーカーは将来的に年間14トンの生産体制を目指す計画です。水槽の維持や、海水を取り込むための機械の電気代などコストがかかるので、生産量を増やすことで課題を解決できるかがカギとなります。
大手みそメーカー あおさ陸上養殖事業担当 松島大二朗さん
「温度耐性のある株は不可欠。大きな産地になりうる場所だと見いだせたのは可能性が広がる」
松島大二朗さん
地元自治体も期待
陸上養殖施設が設けられた西予市は、新たに生まれた産業と雇用の増加に期待を寄せ、拠点整備の支援などを進めています。
西予市経済振興課 岡田拓郎 課長
「拠点施設を設置してもらうことで、すごく注目されている。ほかの企業にも波及できるような好循環につなげていきたい」
陸上養殖が海の環境問題の解決にもつながる?
みそメーカーに生産技術の指導をしている徳島文理大学の山本博文教授は、陸上養殖をきっかけに海藻の研究が進むことで、二酸化炭素(CO2)による海の酸性化などの解決につなげられるのではないかと期待しています。
徳島文理大学薬学部 山本博文 教授
「効率的にCO2を吸収する一つの有用な生命体だと考えられている。実際に海藻を育てていくことで、今後、環境問題に貢献できる技術になればいいと考えている」
大手みそメーカー 松島さん
「陸上養殖で一つのモデルができれば、ある程度似たような環境、近い環境でもできる可能性がある。陸上養殖というシステムが未来を救えるカギになるかなと」
こうした海藻の陸上養殖の開発は各地で行われています。


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